高速スキャニングのための横方向に広範囲な超音波送波による組織イメージング（第2報）

摘要

我々は、医用超音波において、一つのエコーデータを同時に多目的に応用することを報告している。エコーイメージングや組織変位ベクトル計測、HIFU加熱治療等である。変位ベクトルの高精度な計測を実現するべく、複数の偏向ビームを用いたover-determinedシステムを生成し、また、高分解能なエコーイメージングを行うべく、それらコヒーレント信号の重ね合わせにより、横方向の広帯域化に加えてエコーのSN比を向上させている。ステアリング角度を大きくした場合には、周波数領域におけるスペクトルの零詰めによる広帯域化も行っている。我々は、高速なビームフォーミングを行うことにより、高速な変位ベクトルの計測も可能にしており、偏向した平面波送波を行っている。その場合の変位ベクトル計測には、横方向には狭帯域になるが、アポダイゼーションにはガウス関数が適していることを以前に報告している。この平面波送波時においても、上記の各々の方法は、変位計測とエコーイメージングに有効であり、本稿では、寒天ファントム実験を通じて、それらの有効性を確諭した。また、コヒーレント信号の重ね合わせを行った場合において、超解像も行った。