無線ネットワークによる遠隔手話のための動画像通信実験

摘要

現在，バリアフリー社会の実現と障害者への情報保障は，社会問題の一つである．本研究では，聴覚障害者が無線ネットワークを利用してコミュニケーションを行うためのシステムを提案し，基礎実験を行った．無線ネットワークにより，遠隔地の手話通訳者を通じて，聴覚障害者と手話ができない健聴者の間でのコミュニケーションが可能である．これは，例えば，福祉施設や病院の受付などで応用できる．本研究では，市販のテレビ会議システムを用いた室内実験により，システムを実現するために無線ネットワークに求められるスループットや画像の画素数を調べた．その結果，現在の無線ネットワークでは困難であるが，600kbpsで176×140ピクセル程度の動画像転送環境で，遠隔地間での手話が可能であることがわかった．