NEA-GaAsホトカソードからのパルスビーム診断

摘要

100GHzより高い周波数帯の電磁波はサブミリ波帯と呼ばれる．高出力のサブミリ波はデータ通信技術やセキュリティなどさまざまな分野で要求される．我々は、サブミリ波帯以上の高周波の電磁波を出力する方法としてスミスパーセル放射（SPR）について研究を行っている．SPRは高速走行する電子ビームと相互作用回路である金属回折格子から成る高周波真空管の一種であり，放射周波数の帯域が広い特徴がある．SPRの原理は，金属周期構造中に誘起された双極子からの自然放出であり，一般的な誘導放射と比較しても出力が極めて低い．我々は放射出力を高くするために，プレパンチ方式として短パルス電子ビーム形成し，それを周期的なパンチビームとして利用するSPR超放射の実現を目的としている．超放射を実現するためには，30［psec］以下の時間応答をもつカソードが必要である事が今回の試算より明らかとなった．本報告では，P型GaAsホトカソードの時間応答について，そのパルス診断方法の提案とその結果について示す．