樹状突起を逆伝搬する活動電位の神経間相互作用への影響

摘要

我々は，樹状突起上の逆行性伝搬とシナプス情報伝達におけるAチャネルとNaチャネルの役割を明らかにする．神経間相互作用には主にAチャネルが関与して，Naチャネルの関与が少ないことを示す．コントロールの場合と比較して，Aチャネルを阻害すると逆行性伝搬によるEPSPの抑制や有効的な神経間相互作用である位相応答曲線が大きく変化する．Aチャネルを阻害せずNaチャネルだけを阻害すると，逆行性伝搬によるEPSPの抑制や位相応答曲線に変化がない．逆行性伝搬が減少するだけである．先行知見により，逆行性伝搬発生直後，NaチャネルによりEPSPが強く抑制されることが知られている．これらの結果は，Aチャネルが高密度に存在すると能動的な逆行性伝搬が神経間相互作用には影響しないことを意味する．