正常分散領域におけるNRZ長距離光ファイバ伝送のアイ開口劣化

摘要

距離光フアィバ伝送路の正常分散領域おける10Gbit/sNRZ信号のアイ開口劣化に関し，得られる数値解析結果の中に潜む一般的な性質を，小信号解析により明らかにする。均一な分散の伝送路では，dB表示されたアイ開口劣化は伝送路長の2乗に比例し，期待される伝送距離は分散値の絶対値の一1/2乗に比例する。分散配置伝送路は，均一伝送ょりも良好なアイ開口劣化を示し，伝送距離を改善できる。改善量は最大で約2.7倍であり，これを与える平均分散値（絶対値）は分散値の振り幅と一2乗の関係がある．これより大きな平均分散値（絶対値）の領域では，伝送距離はそれに対してほぼ一3/4乗の依存性を示す．ただし，小さな領域では，伝送距離は飽和し，その大きさは分散値の振り幅にほぼ反比例する．このような一般的な結果は，長さ方向に平均化された信号光電力が0dBmから-10dBmという現実的な信号電力，分散の振り幅(全幅)が32ps /km/nm，平均分散値の絶対値が数ps/km/nm以下という幅広い範囲において得られる．このことは，小信号解析が特性解析あるいは性能予測の有効な手段となり得ることも示している．