つながるか，核燃料サイクルの環

摘要

青森県六ヶ所村が国際熱核融合実験炉（ITER）誘致の国内候補地に決まって2年4カ月が過ぎた。 フランスに立地を目指す欧州連合（EU），ロシア，中国と，六ヶ所村誘致を支援する米国，韓国との話し合いがなかなかまとまらないためだ。 一時期，建設費の半額を日本が負担することで，ほぼ日本誘致が決まったかに見えたが，原子力エネルギー技術の最先端を歩むフランスがEU，中国，ロシアの強力な支援を得て，日本側の示す妥協案に応じる姿勢をまったく見せず，最近ではEUが独自に建設する動きも見せ始めている。 ITER建設はあくまでも国際協力で，との建設計画当初からの建前論にこだわる日本は押され気味で，ITER誘致に21世紀の夢をかけていた青森県民や六ヶ所村民にはあせりが見える。 県がこのほど発表した「新むつ小川原開発基本計画（素案）」もITER誘致を前提としているだけに，日本誘致断念という事態になれば，むつ小川原開発そのものが宙に浮く可能性もある。