多拠点クラウド統合監視基盤のフィジビリティ検証

摘要

エンタープライズ領域でのクラウドの利用拡大および災害対策などにより，システムの多拠点化，遠隔配置が進んでいる．運用管理の観点から，これらのシステムを統合的に管理できることが望ましいが，遠隔拠点に存在するシステムを監観する場合，遅延時間や帯域制限といった通信品質の問題により監視基盤のパフォーマンスが低下するため，拠点ごとに監視設定を行う必要がある．統合監視による標準化のメリットを享受するためには通信品質の違いによる影響を極小化することが必要であり，多拠点統合監視の機能をもつ監視基盤についてそのフィジビリティを明らかにする必要がある．本稿では，ネットワーク機器の機能を利用して遠隔拠点との通信を想定した通信品質の劣化を発生させ，多拠点統合監視の機能をもつOSS監視基盤であるZabbixとConsulについて検証を行った．検証の結果，Zabbix Serverから各拠点を直接監視した場合，通信品質の影響を受けて時間あたりに監視可能な項目数が低下し監視結果の取得に遅延が発生するが，Zabbix ProxyやConsulを利用した場合，監視結果の取得の遅延は発生せず，通信品質による影響を低減できることを明らかにした．