大量データを扱うOSSに適用するEJB実装法

摘要

近年のインターネット技術の急速な進展，及びサービスプロバイダ間の競争の激化はネットワークサービスの多様化と短命化をもたらした．新しい技術に素早く対応し，ユーザにとって魅力あるネットワークサービスを提供するにはOperational Support System（OSS）の迅速な開発，改良が必須である．OSSの効率的な開発には構成するソフトウェアの再利用化を促し，ビジネスロジックからデータベース処理やトランザクション等を分離するコンポーネント化が有効であり，それを実現するプラットホームとしてはEnterprise Java Beans（EJB）が最も普及し有望である．本論文では，OSSへのEJBの適用可否を判断するために，WebアプリケーションにはないOSS特有の性質をもつトラヒッタ情報を取り上げて，EJBの4種類の実装パターンに適用し，測定と評価をする．その結果，実装パターンによって結果は異なるが，トラヒッタ情報のデータ量に比例して処理時間がかかることを示す．そこで，大量のデータを効率良く扱うために，複数のトラヒッタ情報をまとめてシリアライズして管理する方法を提案する．その結果，いずれの実装パターンにおいても十分な効果があることを示す．更に，シリアライズ化は，一つのシリアライズデータにできる限り多くのトラヒック情報を入れるほうが有効であるが，大きすぎると取得数が少ない検索は処理時間がかかることを示す．