P2Pネットワークにおける隣接リンク数を利用したメッセージ転送方式

摘要

P2Pネットワークにおいては，検索メッセージのフラッディングによるネットワークの負荷が問題となっている．本論文では，ネットワーク負荷を軽減するため，隣接リンク数がべき乗則に従うネットワークの特性を利用したメッセージ転送方式を提案する．提案方式は，隣接ノードとのリンクを有効リンクと冗長リンクに分別し，有効リンクのみを用いてメッセージ転送を行う方式であり，フラツディングにより発生する冗長なメッセージを大幅に削減するとともに，隣接リンク数の多いノードをメッセージ転送に有効に使用することにより，メッセージ伝搬遅延の増加を抑えることを可能としている．また，提案方式によるメッセージの到達性を保証するため，ネットワーク構築時とトポロジー変化時のネットワーク分断について検討を行い，それぞれのケースでタイムアウト処理を確立している．これらのタイムアウト処理を用いることにより，物理的にネットワークが分断していない場合は100％のメッセージ到達率を達成できることを示している．