はじめに

摘要

骨代謝マーカーは，最近では骨粗鬆症診療において骨密度測定を補完する必須の検査項 目となっており，とくに骨密度測定のできない診療所での薬剤選択や効果判定には欠かせ ない.骨は吸収'形成を繰り返す動的臓器であり，その速度を非侵襲的に評価しうる検査 項目が骨代謝マーカーである.新規の骨代謝マーカーが近年続々と保険承認されていることから，日本骨粗鬆症学会から2012年に骨代謝マーカーの適正使用ガイドラインが発表さ れた.本特集では，骨粗鬆症診療分野における骨代謝マーカーの測定意義について概説い ただき，新規骨代謝マーカーも含めてそれら個々の項目の特徴を踏まえての検査項目の選 択，測定にあたっての検体採取や保管について解説いただく.また，高齢者に合併率の高 い慢性腎臓病によって，骨代謝によらないみかけ上の影響が骨代謝マーカーの種類によつ ては無視できないことがわかった.さらに，骨量とは関連しない骨折予測因子として報告 されている骨マトリックス関連マーカーに加えて，カルシウム'リン代謝のみならず生命 予後の予測因子としても示されている線維芽細胞増殖因子(FGF)-23や25-OH-Dなどの意義についても触れていただく.