プリント回路基板からの不要電磁放射の信号配線レイアウト依存性

摘要

電子機器のプリント回路基板のレイアウトを決定する際，プリント回路基板上に必要な部品を配置し，回路動作を保証する信号配線や電源配線のレイアウト設計を行うが，それと同時に，不要電磁放射を抑えるためのレイアウト設計が必要となっている．本論文では，レイアウト設計に対する明確な設計指針を得るために，プリント回路基板からの電磁放射の信号配線レイアウト依存性について検討している．まず，回路構成や部品が同じでも信号配線のレイアウトによって基板からの電磁放射量が変わる実験結果を示す．そして，この原因が基板のグランドプレーンがダイポールアンテナとして働くコモンモード放射によることを示す．次に，偏波特性，放射モデルやその放射パターンに着目することで，基板からの放射が信号配線からの放射（ディファレンシャルモード放射）とグランドプレーンからの放射（コモンモード放射）に分離できること，更に，ディファレンシャルモード放射量に対するコモンモード放射量の比率という新たな指標を導入することで，信号配線レイアウトや基板形状と電磁放射量との関係を数値化できることを明らかにしている．