固定小数点演算FDTD法の精度に関する検討

摘要

本報告では，PML吸収境界条件を用いた3次元アンテナ解析の観点より，FDTD法をFPGAに実装する際に問題となる固定小数点演算固有の計算誤差について検討を行う．ここでは，FDTD法の計算精度そのものではなく固定小数点演算と浮動小数点演算との差分に着目した相対誤差評価を行う．まず，電界値と磁界値の比に起因する磁界成分の桁落ちに関して，波動インピーダンス値をスケーリングする手法を導入し解析領域における相対誤差の改善を実現する．ビット幅依存性に関しては，ビット幅の減少に伴い対数的に相対誤差の劣化が見られることを明らかにする．その結果，損失がない場合に32ビット固定小数点演算で-120dB程度の十分小さい相対誤差の演算が実現できることを示す．