Javaのメソッド等価性判定とその応用

摘要

JavaプログラムのクラスにおいてequalsメソッドとhashCodeメソッドをコード実装者が実装することが，しばしば生じる．その際，これらのメソッドについて幾つかの制約を満たすように記述する必要がある．それらの制約の中にはequalsメソッドが等価と判断する2つのオブジェグトについてはhashCode値も同じでなくてはいけないというメソッド間にまたがる制約がある．このような制約を静的に検査する方法がすでに著者らの研究グループの先行研究等で提案されているが，以下のような課題点があった．1．メソッドにループ構造があってはいけない．2．SAT／SMTの制約式に変換するため，変換が自明でない場合はツールの妥当性が担保しにくい．本原稿では上記の課題点を解決する別の手法を提案する．この手法はオープンソースの既存ツールであるSAWのメソッドの等価性判定機能を用いる方法であり，上記の課題を解決できるほか，メソッドの内部アルゴリズムの変更やクラスのフィールドの追加·削除等変更にともなう回帰テストの手間の削減を可能にする利点があることを併せて示す．