土砂災害警戒避難のための線状降水帯等の自動抽出システムについて

摘要

強雨域を自動抽出することは土砂災害に対する警戒避難の判断を支援するために不可欠である。実際，風上で発生した積乱雲が次々と流れ込むバツクビルディング型をはじめとする線状降水帯等が形成された場合，強雨域がほとんど動かず数時間にわたって激しい雨が降り続くことから，甚大な土砂災害の被害が発生している（平成29年7月九州北部豪雨，平成26年8月豪雨など）。現状では，これら線状降水帯等による豪雨は台風や温帯低気圧に伴う降雨と異なり，数値予報により量?場所?時間について数時間～十数時間前に予測が出来ていない。局所的な集中豪雨の場合，土砂災害警戒情報は発表から災害発生までの時間が短く，リードタイムが確保できない等の課題がある。このことから，先行研究の結果を踏まえ線状降水帯等の自動抽出システム（プロトタイプシステム）を開発した。システムの概要と取り組み状況について紹介する。