家畜排泄物用バイオガスプラントと液肥利用

摘要

家畜ふん尿用バイオガスプラントの特徴を述べるとともに，この施設（個別農家用）がエネルギー的#12539;経済的にどのような条件で成立するのかについて検討した。 エネルギー的には，消化液（メタン発酵後のふん尿）を肥料として有効利用するならば，およそ3～4年間の運転で投入化石エネルギーを回収することとなり，代替エネルギー生産の可能性が示された。 経済的には，現在の建設コストと売電単価の下では成立し得ないことが明らかとなった。また，現行の売電単価の下であっても，消化液を肥料として有効利用し，建設コストの75～90％が補助金で負担されれば，実現性が現われてくることが明らかとなったが，多額な補助は施設の低コスト化を妨げることにもなりかねないので，初期投資（施設の建設費）に対する補助率はあまり高くせずに，売電単価を高めるという補助の出し方をするほうが健全な運営方向に導くと考えられる。さらに有機性残渣を添加することにより，その処理代金と発生ガスの増加，および消化液中の栄養成分の増加による収入増が，経済的成立の可能性を広げるであろう。いずれにしても，消化液の有効活用（土地還元）はバイオガスシステム成立の最も基本となる条件である。