拡散反射面の物体指紋撮影に適した照明照射方法

摘要

物体表面に存在するランダム性を持つ微細な凹凸（物体指紋）を，カメラで撮影し，画像照合することにより，識別タグを使わず，均一に作られる工業製品であってもそのひとつひとつを識別できる「物体指紋認証」技術が提案されている．本稿では，拡散反射の強い物体表面の物体指紋を明瞭に撮影するための照明照射方法を提案する．提案法では，物体の表面形状測定によって得られた微細な凹凸の傾き角度（法線）分布から，明暗パターンへの影響が少ない照明光の照射角度範囲を算出し，当該範囲の照明光をカットすることで，高コントラストで識別しやすい画像パターンを撮影できるようにする．拡散反射率の異なる2色のプラスチック素材を用いた実験結果から，拡散反射の強い明色素材における提案法の有効性を示す．