弾性表面波を用いた導波路型光周波数シフタと周波数シフト帰還型ファイバレーザへの応用

摘要

本論文では，光波長1.55μmにおいてプロトン交換LiNbO_3光導波路を用いて弾性表面波（Surface Acoustic Wave：SAW）により回折光を得る導波路型光周波数シフタを作製し，リング型ファイバ共振器内に挿入することにより，周波数シフト帰還型（Frequency-Shifted Feedback: FSF）レーザ発振を得た結果について述べている．導波路深さ方向にシングルモードとなる作製条件を明らかにし，直線状3次元導波路の幅が10μmのとき，ファイバとの光結合視が2.0 dBの非常に良好な値を得ている．この条件を用いて作製された導波路型光周波数シフタを，レンズを介して入出力ファイバと光結合させた状態でモジュールに組み込み，SAW励振周波数193 MHz，入力電圧10V_(rms)において光回折効率が35％，Fiber to fiberのスループットが10％の周波数シフト光を得ている．更に，このモジュールを組み込んだFSFファイバレーザの発振特性を測定した結果，発振スペクトルのFWHMは0.62nmであること，ビート周波数スペクトルの広がりΔνは12 kHzであることを明らかにし，導波路型光周波数シフタは従来のバルク型のものと同等にFSFファイバレーザへの応用が可能であることを示している．