感情語学習における親の発話と絵本が担う役割とは？

摘要

本研究では，親の発話と絵本における感情語の種類と出現傾向を調べ，感情語の情報源として親の発話と絵本に違いがあるのかを調査した。まず，先行研究を参考に，770語からなる乳幼児向けの感情語リストを作成した。そして絵本コーパス（5,394冊分の文章データ）と親子会話コーパス（448会話分のデータ）において出現する感情語の種類と頻度を分析した。その結果，絵本には，親の発話よりもバラエティ豊かな感情語が含まれていることがわかった。また，高頻度に出現する上位20語を見ると，絵本にはポジティブな感情語がより多く出現する傾向がある一方で，親の発話においてはネガティブな感情語の出現頻度が高いという質的な違いも見つかった。