生体曝露実験用60GHzミリ波レンズアンテナによる集東ビームの解析

摘要

リ波帯における電波防護指針は電波が照射された体表における温熱感を防止することを根拠としている．近年，ミリ波帯電波の利用が促進されていることから，電波照射時の温熱感についてのより詳細な医学·生物学的実験データの蓄積が必要とされている．そこで，本論文ではミリ波と温熱感の関係を検討するために，以下の実験及び理論解析を行った．実際に温熱感しきい値実験に用いるレンズアンテナから放射される集束ビームの電界分布を測定し，その測定値に基づいて平面波スペクトル分解表現により電磁界を再構成し，その精度を評価した．また，生体を皮膚と脂肪の2層でモデル化し，実験時に想定されるビームの照射位置のずれや，照射角度の変化，個人差として想定される皮膚厚，皮膚の乾湿条件を変化させたときの生体内部の電磁界分布を計算した．その結果，皮膚表面における最大電界強度の変化は士5smmの照射位置のずれに対して約0.8dB程度，士10の照射角度に対して約0.2dB程度，皮膚厚の1～4mmの間での変化，皮の乾湿変化に対して最大で0.7 dB程度であることを確認した．