エタノール共存下におけるグリシンの大腸菌に対する抗菌作用

摘要

エタノール共存下，人腸菌に対するグリシンの抗菌作用について検討した．グリシンの抗菌力は低温で，アルカリ性側で強く発現された．また，グリシンとエタノールとの強い併用効果が認められた．グリシンとエタノールの併用により，本菌は損傷を受け，デオキシコーレイト培地上でのコロニ，形成能を消失したが，Vschinsky培地や同培地の有機成分中でコロニー形成能は回復した．更に，これらの薬剤の併用は本菌の呼吸能も阻害したが，コロニー形成能の回復条件と近い条件下で呼吸能も回復した．以上の結果から，これら薬剤の作用部位は菌体膜であろうと推定した．