防災指向型雨量情報合成における高リスク優先手法の提案

摘要

近年，日本では局地的大雨の事象が増加傾向にある．このため降雨情報の迅速な取得と情報共有は水災害に関する防災対策上、重要な課題と考えられる．国土交通省が全国に設置したXRAINは高い分解能と観測時間の大幅短縮を実現し、局所的豪雨の観測に極めて有用となった。しかし現状の観測域は全国総てを網羅していない。一方、広域的な観測に向くC-band radarの観測域は日本全国を網羅している。しかし局所的豪雨の観測は難しく、両レーダの特徴は相反関係にある。そこで我々はXRAINの観測情報をC-band radarの情報で補完して局所的豪雨を含む日本全体の雨の状況を把握する方法を検討した。本研究では、XRANとC-band radarの観測情報を防災指向で合成する手法を提案し、結果として、我々は局所的豪雨を含めた日本全体の観測情報をリアルタイムで表示することを可能とした。本稿では本提案手法および実装結果を紹介する．