金属組織試験の画像処理による自動化

摘要

鉄鋼材料をはじめとする金属材料の諸特性は金属組織に大きく影響を受ける。金属組織を評価する方法として，JIS（Japan Industrial Standard，日本産 規格）には，顕微鏡写真から組織を評価する幾っかの方法が規定されている。例えば，この評価に対応した市販ソフトを使うならば画像処理により自動で迅速に結晶粒度等を評価することができ，効率的かっ安定的に人の主観によらない定量評価が可能である。更に近年ではAIにより材料等級を判定させるサービスも始まっている。しかし，市販ソフトの内部でどのような処理がされているのか不明であり，また，個別の要望に応じた細かいカスタマイズも難しい。一方で，最近は無料で使用できる画像処理ライブラリが充実しており，専門家でなくても容易に画像処理に取り組める環境が整ってきた。これらを活用して金属組織評価できる自前のプログラムコードを作成すれば，処理の内容について理解を深めることができ，またカスタマイズにも対応できると考えられる。本報では，JISに規定される2通りの金属組織評価試験を対象として，Pythonにより画像処理コードを作成し，作業を自動化することを試みた。