家族性膵癌

摘要

膵癌の予後は極めて不良であり，5年生存率および 10年生存率は固形癌で最も低い.先進国では膵癌に よる死亡は増加を続けており，米国では数年で肺癌に ついで膵癌の死亡者数が多くなると予測されている 以前から膵癌患者が集積する家系があることが知られ ており，そのような家系に発生する膵癌は家族性膵癌 と呼ばれてきた.ゲノム医療時代となり，家族性膵癌 家系における遺伝学的背景が注目されているが，特異 的な遺伝子異常が同定される頻度はいまだに低いのが 現状である.本稿では，家族性膵癌の定義と疫学，臨 床的特徴，遺伝子変異，化学療法.家族性膵癌登録制 度，スクリーニング検査に関するエキスパート?コンセンサス，遺伝カウンセリングの実際について概説する.