内在性神経再生機構による脳梗塞治療にむけて

摘要

神経再生治療の実現を目指した様々な試みがある が，我々は「内在性の神経再生機構」に着目して 研究を行っている。内在性の神経再生は，もとも と脳にそなわっている生理的な修復機構であると 考えられ，その分子機序を解明し賦活することが できれば，移植などの手法と比べ，より低侵襲で 安全性の高い再生治療となる可能性がある。内在 性の神経再生を促進するため，我々はマウス脳梗 塞モデルを用いた実験を行い，新生ニューロンに 発現する細胞接着分子（Nカドへリン，だ1イン テグリン）と，新生ニューロンの移動の足場とな る構造物に着目し，細胞接着分子を組み込んだ最 新のバイオマテリアル技術を用いて，新生ニュー ロンの傷害部への移動を促進しうることを明らか にした。これらの知見が，脳梗塞の新たな再生治 療の創出の基盤となることを期待している。