肥育云勢午の下部排尿困難症例に対する2つの手術の選択による治療

摘要

筆者が20年前に獣医師として鹿児島に赴任した当 時，黒毛和牛肥育の現場では尿石症による尿路閉塞が 多発していた。これまで約300頭の手術を行つたせ, そのキヤリァのほとんどははじめの数年に集中してい る。最近では尿路閉塞に出会う頻度は減り，年に5頭 前後となった。読者のなかには手術の経験がない方も おられるだろう。今回紹介するのは.人工尿道口の埋 没，術後の出血.再発のリスクが低いと考える会陰部 尿道瘻形成術(以下.バイパス手術）の一術式である1'。 しかし，この術式でバイパス手術を行つても排尿でき ない牛がいる。排尿を目的として，人工尿道口より力 テーテルを挿入するという報告もあるカ气筆者は推奨 しない。バイパス手術後に，人工尿道口からの排尿が 確認できない場合は，膀胱麻痺，膀胱破裂，または尿 道の著しい損傷などにより排尿機能が損なわれている と考えるからだ。