ES-6-2 E型肝炎

摘要

E型肝炎は急性ウィルス性肝炎の一つで,その病原体はE型肝炎ウィルス(HEV)である.HEVはエ ンベロープのない直径約33nmの小型球形ウィルスで，約7200塩基からなる1本鎖RNA遣伝子を内 包している.HEVは1～8型の8つの遺伝子型に分類され，3, 4, 7型はヒトだけでなくブタ,イノシ シ,シカ,ラクダなどの動物にも感染する人獣共通感染症ウィルスである.HEVは世界的に広く分布 しているが,発展途上国と先進国ではその伝播様式や遺伝子型は大きく異なっている.日本を含めた 先進国においてはHEV保有動物の肉を加熱不十分のまま喫食して感染する経口感染が主な感染経路 である.特にブタのレバーやホルモンなどの内臓肉は主要な感染源となっている.また，国内に存在 するHEV遺伝子型はおもに3型と4型で，4型は北海道などの一部の地域に偏在しており,3型に比 ベて顕性化率?重症化率が高いため注意を要する.