山田和順先生を偲んで

摘要

名古屋市立大学名誉教授で日本解剖学会名誉会員の山田和 順（やまだかずより）先生は令和3年（2021年）10月14日に逝去されました.享年90歳でした.ご家族によりますと前日か ら不調を訴えていて,翌日の早朝突然のご逝去だったそうです. 実はお亡くなりになる3週間前,山田先生から私の携帯に電話があり, 久しぶりにお話をしたばかりでした.私の近況 などをお尋ねになり, コロナの流行が下火になって春になったらお会いする約束をしたのですが, 以前と変わらないよく通る太い声で元気にお話ししていたので, ひと月と経たないうちに突然先生の計報に接するとは想像だにしておらず,お会いする機会を逸したことが悔やまれ,最後にお話しした時 の声が思い出されてなりません. 山田和順先生は昭和6年（1931年）4月に山田和麻呂先 生（元名古屋大学医学部長, 名古屋大学名誉教授,第72回 日本解剖学会会頭）のご長男として岐阜市でお生まれになりました.名古屋大学医学部を昭和31年3月に卒業され,実地修練を終了して医師免許取得後の昭和32年4月,解剖学第 二講座戸前近太郎教授の勧めにより同大学大学院医学研究科 に入学, 胆囊粘膜上皮の組織細胞学的ならびに組織細胞化学 的研究に取り組みました.