最終講義 第21回酵素分子多型を求めて

摘要

1.酵素との出会い:酵素を研究対象としたのは,筆者が大阪薬科大学 （現大阪医科薬科大学）薬理学教室の卒業研究で FcAMPの酵素による定量」の課題を玄番宗一先生 より頂いたのがきっかけである.卒業後，大阪大学 薬学研究科生物薬品化学講座上原喜八郎先生のも とで，まずミトコンドリアのリンゴ酸脱水素酵素の 精製で酵素精製の基本を学び,修士の課題として四 単糖であるDーエリトロースの代謝酵素としての異 性化酵素と還元酵素の精製をめざした.? 萬年成 泰先生，細見三郎先生（大阪大学）のご指導のもと, 各種カラムクロマトグラフィーによる酵素の精製に 成功した.基質特異性や阻害剤感受性などの酵素化 学的諸性質に加えて，超遠心法による分子量測定， アミノ酸分析,分光分析による補酵素の結合数測定 など物理化学的解析を行った.ガスクロマトグラ フィー?質量分析法により酵素反応生成物を同定し たところ，異性化酵素はリブロース5ーリン酸エピメ ラーゼに類似した酵素であることがわかった.一 方，還元酵素は,アルデヒドやケトンに対して幅広 い還元活性を示す酵素であることを明らかにした. これらの成果をまとめて,近藤雅臣先生（大阪大学） のご指導のもと博士論文を提出した.