鹿児島県農業共済組合曽於家畜診療センターの紹介

摘要

鹿児島県農業共済組合（NOSAIかごしま）は，令和 3年4月1日に旧NOSAI南薩.北薩，かごしま中部， そお.肝属，熊毛，大島.南大島の8組合が合併し発足 しました.8つの家畜診療センターに136名の獣医師が 所属し，診療業務および損害防止事業を行なっています.曽於家畜診療センターは大隅半島の北部に位置し，曽 於市，志布志市.鹿屋市輝北町，曽於郡大崎町を診療範 囲としています.獣医師20名が所属し北部診療所（5 名).中部診療所（6名).南部診療所（8名)，検査（1 名）から構成されます.令和2年度は肉用牛56.479頭 (1,555戸),乳用牛1,998頭（29戸）を引き受けており， 県内でも有数の黒毛和種牛繁殖地帯となっています.管 内の黒毛和種子牛市場は全国有数の規模であり.診療 の9割以上が黒毛和種を対象としています.診療内容は消化器病.呼吸器病.繁殖障害などが多くを占めます.当センターには以前より検査室が設けられており，一般 血液検査はもちろんのこと.ビタミン測定，蛋白電気泳 動等の検査をルーチンに行ってきました.一般身体検査 で詳細が不明な症例には積極的に検査を行い，即日に結 果が返却されるため治療方針を決める際に非常に重宝し ておりました.しかし，残念ながら検査結果に基づいた 治療を行っても治療が奏功せず治癒に至らないことも少 数ではなく，近年増加する大規模農場ほどそのような症 例が多くみられるようになりました.これらの事例では 病気に罹患する前に子牛が痩せていることや毛艷が悪い 等が散見されますが，そもそも母牛が瘦せている，夕ン ローリング，繁殖成績が悪いなどの問題を抱えていると いう印象がありました.そのような経緯もあり牛群の母 牛の栄養状態を評価する代謝プロファイルテストを積極 的に活用する運びとなりました.