トルクセンサを用いたEVにおけるシームレス2速変速システムの提案

摘要

温室効果ガス排出規制の強化等により，EVの需要は急速に拡大している．しかし，変速機をもたないEVは，ICE車に比べ走行性能や航続距離に課題がある．EVへの2速変速機の導入により，図1に示すように加速性能と最高速度性能の向上および航続距離の延伸が実現する．また，図2に示すように，モータが高効率で動作できる運転領域が広がり，航続距離の延長が可能となる．モータの高効率な動作領域はエンジンよりも広いため，航続距離の効果的な改善には変速機の段間比を十分大きくする必要がある．図3は，WLTCにおける段間比に対する航続距離の改善量のシミュレーション結果を示している．最適な段間比は約2．5で，ICE車両における変速機の一般的な段間比の2倍以上である．一般に，大段間比の変速機における変速はショックが大きく，乗り心地が悪化することが知られている．