総論ロコモとフレイル：健康長寿社会構築の鍵となる概念の提唱

摘要

ロコモティブ症候群（ロコモ）は主として骨-関節,筋肉疾患により歩行などの移動機能が障 害される病態であり，フレイルはfrailtyに由来 する造語で，全身の衰弱により筋力，認知，嚥 下などの全身機能が障害される病態である。両 者はいずれも加齢に伴って著しく増加し，放置 すると要介護，寝たきりにつながるため，その 対策は健康寿命の延伸，健康長寿社会の構築の ためにきわめて重要である。しかし，両者の関係 性については必ずしも包括的な整理がなされて おらず，また国民の意識も高まっていなかった。 そこで，日本医学会連合では，フレイル，ロコモ の概念と意義を整理し，超高齢社会におけるそれ らの対策の重要性を啓発するために，フレイル, ロコモ克服のための医学会宣言をまとめ公表し た。この宣言により，わが国の，フレイル，ロコ モ対策が一層進むことが期待される。