—細胞から観た肺線維症 をもたらす炎症細胞社会

摘要

肺線維症は,細胞外基質が過剰沈着し呼吸不 全に至る予後不良の病態であるが,様々な細 胞の相互作用が織りなす“炎症細胞社会”の 変遷は未だ不明な点が多い。近年，個々の1 細胞の網羅的遺伝午発現を捉えられるsinglecell RNA-seq(scRNA-seq)が急速に発展し， 炎症細胞社会が捉えられるようになった。 我々は，独自の高感度,高精度なscRNA-seq 解析法TAS-Seqを用い,シリカ誘導肺線維 症マウスモデルの線維化進展に伴いLyve MHC!l~(hi)間質マク口ファ一ジが増加，C1qの 特異的産生を介し線維芽細胞,上皮細胞の活 性化を誘導し，肺線維症を増悪させることを 見出した。さらに線維化過程における炎症細 脂社会の変遷を，細胞間相互作用テンポラル ネットワ一クを搆築しモデル化し，ハブ細胞 及び介在する分子を同定した。今後同モデル の検証や臨床検体への適用を進め，新規治療 標的の確立を目指す。