予防を科学する炎症細胞社会学：特集にぁたって

摘要

平成29年度から令和3年度までの5年間，私 を領域代表として新学術領域研究：予防を科学 する炎症細胞社会学が実施された。本特集では， 本領域研究の背景,目的とその成果，今後の課 題について概要を紹介する。高度な高齢化社会を迎えた今日，健康社会を持 続可能なものとするためには，慢性炎症を基盤と する生活習慣病，様々な炎症。免疫疾患，がん# どを予防し，また一度発症しても早期診断とそれ に基づく早期介入により病気との共存を図り健康 寿命を保ちながら天寿を全うできる健康維持シス テムの構築が喫緊の課題である。従来の疫学を中 心とする予防医学では，さまざまな生活,環境指 標に基づき危険因子を推測し，介入による健康リ スクを低減するアプ口ーチに主眼が置かれた。疾 患の発症における多数の危険因子の存在，例えば 自然環境，社会環境，労働環境などの外的環境因 子や，生活習慣などで変化する内的環境因子を詳 らかにし，疾患の予防。改善に貢献したが，科学 的根拠に欠け時には誤った結論をもたらす場合も あった。