自動車の遠隔操縦者の運転特性に関する研究（第一報）

摘要

現在，提案されている遠隔操縦システムにおける運転操作については，従来の運転席を模擬したハンドルとペダルで構成された仕様となっている．遠隔操縦では，車両の制御だけでなく周辺の安全確認も行わなければならないが，周辺環境のセンシングや車両制御システムの処理遅れの影響により遠隔操縦者への情報提供および操作入力については遅れが生じる．このように，遠隔操縦者は体感情報が得られないだけでなく，運転操作を行う環境が一般の運転と大きく異なる．そのため，自動車の運転の延長として遠隔操縦の在り方を検討するのではなく，新たなモビリティに対する運転として考えることが重要である．本研究では，遠隔操作車両に対する運転者の運転特性を明らかにし，遠隔操縦システムで有効な運転操作と情報提示に関するインタフェースの検討を行うことを目的とする．本稿では，自動車の遠隔操縦システムに適合する運転操作のためのインタフェースについて基礎検討を行う．ドライビングシミュレータ（DS）を用いて遠隔操縦システムを再現し，被験者実験の結果から，今後検討するべき自動車の遠隔操縦システムに関する課題について検討する．