干上がりつつある米国最大のダム貯水池·ミード湖: 気候変動に伴う自然的要因が第一ながら， 不適切な行政対応により流域の渴水が進行中

摘要

ネバダ州の世界的に名高いラスベガスの近傍にある人造湖ミード湖は，面積640km~2，貯水量32.24km~3(32億2,400万m~3，東京都の小河内ダム湖の約17倍)の規模を誇る米国最大のダム貯水池で，100年余りの歴史を有している。1930年代に，大恐慌からの経済再生のためのニューディール政策の一環としてフーバーダム(堤高221.4m，堤頂長379.4m)がコロラド川に建設されたさい，ダムの背後にミード湖が形成された。ミード湖は非常に大きく，この1つのダム貯水池だけで550万エーカー(約2万2，259km~2，1エーカー=約4,047m~2で換算)以上の農地と7州にまたがる4,000万人を超える人々に，十分な水を供給してきたほどである。コロラド川の集水域とミード湖の位置関係は，図1のようになる。