第一原理計算と機械学習に基づく衝撃圧縮挙動の分子動力学計算

摘要

分子動力学（MD）法に基づく計算機シミュレーションは，広範な分野において微視的スケールの現象を解明するためのきわめて強力なツールである。対象とする温度·圧力条件に実験機器のような制約が少ないことから，高圧力科学の分野においても大きな役割を果たしている。例えば，クリストバライト型GaPO_4は高圧力下でCmCm構造へ相変態を起こすことが実験的に報告されているが，この報告の5年ほど前には既に同様の構造変化がMDシミュレーションにより予測されていたという事例がある。このように，実験的にはまだ技術的な問題で観測が難しい現象を，MD法をはじめとする計算機シミュレーションにより検証するというアプローチは大変有効な研究手段として認識され，現在でも広く活用されている。