農業用車両のスマ一ト化と安全技術一自動化農機，ロボット農機の動向と安全性一

摘要

日本農業では，人手不足，高齢化が深刻となってい る。一方で，他産業よりも，死亡事故の確率が高く，農 作業安全推進がつよく叫ばれている。その対策の一つと して，ロボット技術が注目されている。本稿では，見た 目は，従来の農業機械によく似ているものの高度なロボット技術を組み込んだ自動化農機，ロボット農機につい て，最近の動向と安全技術の特徴，留意点などについて 解説する。まず，「自動化農機」とは，運転者が乗車した状態で， ハンドル操作，走行，停車などの運転操作の一部をアシ スト,自動化機能を持つ農機のことをいう。「ロボット 農機」とは，運転操作のほとんどを自動化された農機の ことをいい，無人作業中に使用者がほ場内や周辺から常 時監視して危険の判断や停止操作のみ行ったり，遠隔監 視しながら危険の判断や停止操作も自動で行う完全無人 作業するものである。農林水産省は農業機械の自動運転 における技術水準によってレベルを定義しており，使用 者がロボットの周辺から常時監視して危険の判断や非常 時の操作をするものを「レベル2」，完全な無人作業可 能なものを「レベル3丄使用者がモニターなどで遠隔 地から監視しながら無人作業するものは，両者の中間に 分類される。