牛の人に対する恐れ（ストレス）を 低減させる

摘要

牛を含む家畜は捕食される側の動物であり，捕食者 である人に対しては生来的に「恐れ」を持つとされ る1>。恐れは動物にとって未知の物体が出現したり， 見慣れない状況に置かれたり，危険を感じたりする場 面で見られる情動であり，そのような場面に対して， 闘争もしくは逃走(Fight or Flight)を引き起こす動機 付けとなる感情である。例えばいつも通っている通路 に白い紙が落ちているだけでも，牛はいったん立ち止 まり，安全を見極めてから，近寄ってにおいを嗅いだ り，舐めたりする。そして危険がないと分かると鼻面 で遊んだり，紙を無視して通路を通過したりする。逆 に風が吹いて突然紙が舞い上がったりすると，.牛は白 い紙を恐れて逃げ出す。牛は角という武器を持っては いるが，基本的に恐れを感じるような場面では逃走す る方が怪我や死亡するリスクが低く ,エネルギーの損 失も少なくすむことが多いため，逃走が第一の選択肢 となる。