膀胱.前立腺.尿道の腫瘍

摘要

乳頭腫(パピローマ）とは，上皮細胞由来の良性腫瘍を指す 用語である。発生原因によりウイルス性乳頭腫と非ウイルス 性乳頭腫に分けられる。全身の皮膚や口腔に発生するものは パピローマウイルスが原因となることが多く，ウイルス性乳 頭腫は無治療で数力月以内に自然退縮するウイルス性乳 頭腫は通常若齢の動物で発症し多発性の病変を形成するが， 膀胱の乳頭腫は成犬から高齢犬での発生が多いことから，非 ウイルス性乳頭腫の可能性が考えられる。人や牛ではパピ ローマウイルスは膀胱癌の発生と関連していると考えられて いるが,犬.猫の膀胱移行上皮癌とパピローマウイルスの関 連を調べた研究では，18頭中1頭のみが陽性であったとの結 果から，病因との閨連は否定的である。