血液疾患における安全かつ適正な輸血療法

摘要

近年，各種血液疾患に対する治療法の進歩並びに治療成績の向上により血液製剤の需要が高まっている.しかしその一方，本邦における人口の急速な高齢化現象により，献血可能な人口が減少し，将来的に輸血製剤の供給が需要に追いつかない可能性が指摘されていることから血液製剤のさらなる適正使用が求められている.また,血液製剤には様々な副作用が発生し,時に重篤な症状を来すことから,その対策ならびに予防により安全に投与することが必要不可欠である.血液製剤を使用する主たる目的は，血液成分の欠乏あるいは機能不全による臨床症状を認めるときに，その血液成分を補充して症状の軽減を図ることにある.その際には適応となる基準値(トリガー値)を確認し,必要とされる血液成分量を決定する.そして投与後には有効性の評価を行い，同時に副作用と合併症の発生の有無を観察し,これらを診療録に記録することが必要とされている.