(業績）「実用的有機触媒反応の開発および生物活性化合物の短工程合成への展開」

摘要

有機合成化学には，反応の開発と天然物合成という2つの分野がある。林雄二郎氏は両方の分野を研究することにより.相乗効果が期待できると考え，それぞれの領域からテーマを選び，研究を行ってきた。反応の開発では，優れた不斉有機触媒を開発し，多くの実用的不斉 触媒反応を見出した。また，全合成の領域では，自らの開発した有機触媒反応を，強力な生物活性を有する天然 物-医薬品の合成に展開した。その過程で，同一反応容器で複数の連続的な反応を行う効率性に着目し，ポットエコノミーの概念を提唱した。また最近，反応·精製を含めて，短時間で合成を行うタイムエコノミーの重要性 も提唱している。以下にその業績の概要を示す。