黒毛和種牛における 牛伝染性リンパ腫ウイルスの 垂直感染の発生状況とリスク要因

摘要

牛伝染性リンパ腫ウイルスの垂直感染の発生状況を調査し，リスク要因の分析を行った。血中プロ ウイルス量が高い母牛の産子の感染率は38.5で，低い母牛の10.0と比較して有意に高かった。母 牛の産次数，助産の有無，子牛の性別および母乳摂取の有無においては感染率に差を認めなかった。 垂直感染率は子牛の出生月により差があり，4-9月出生群は3.8だったのに対し，10-3月出生 群は55.0と高い傾向にあった。また，地方病性牛伝染性リンパ腫発症牛の調査において，3歳以下 の若齢発症牛は同様に10-3月に出生した個体が多いことが判明した。これらのことから，垂直感染 には季節性がある可能性が示唆された。