工作機械の知られざる物語 続編「技術の本質」を訪ねて: II部 加工要求に好適な機種を産み出す技術と技倆 -「設計·製造技術」にみられる「技術の本質」を捉えたノウハウ及び「勘と閃き」の大切さ 9: II部 加工要求に好適な機種を産み出す技術と技倆 -「設計·製造技術」にみられる「技術の本質」を捉えたノウハウ及び「勘と閃き」の大切さ 9

摘要

人間社会を支えている製品は、一群の部品やユニットなどを組立てることによって産み出される。例えば、家庭でパンを焼く「ホームベーカリー」と呼ばれる機器をみてみると、内釜（部品）の中にはパン粉や混入する牛乳などを搔き回す「撹拌翼」（部品）が組付けられていて、この撹拌翼は機器本体に固定された電動機（ユニット）で直接、あるいはベルト（部品）のような機械要素を介して駆動されている（図10-1）。ホームベーカリーは、それ自体で役立つ製品であるが、電気機関車のように、他の製品と組合わされねば役立たないものもある。すなわち、電力を取入れるためにパンタグラフを架線（他の製品）に、又、走行するために車輪をレール（他の製品）と接触させねばならない（図10-1）。要するに、電気機関車そのものは、車体、台車、車軸や車輪などの部品やユニットなどの集合体であり、これらの接合部が問題となると同時に、架線やレールのような他の製品との接合部が問題となる。例えば、車輪とレールの接触状態は、「粘着性能」（後述する「接線力比」が密接に関係）として車両の走行速度や「乗り心地」に大きく影響する。