Picture in Clinical Hematology No.147

摘要

仙骨部骨髄脂肪腫 67歳，女性。薬剤性肝障害の精査のため腹部CTを施行したところ,偶発的に仙骨前面に長径6 cm大の軟部腫瘤を指摘された。MRIでは境界明瞭で辺縁整の腫瘤を認め，T1強調画像で大部分は周囲の筋肉と等信号を示した。針生検で,成熟した脂肪組織の中に，分化した顆粒球，赤芽球,巨 核球が観察され,造血細胞の集簇と判断した。幼弱な脂肪細胞の異常増殖や骨髄芽球の増加はなく, 悪性所見は認めなかった。軟部組織における髄外造血の像であり,骨髄脂肪腫と診断した。骨髄脂肪腫は脂肪組織と正常造血成分からなる稀な良性腫瘍であり,剖検中0.13-0.4%で発見される。造血能は非機能性である。副腎皮質に好発するが,副腎外では仙骨前面が副腎外の50%以上を占める。その他，腎周囲の後腹膜,胃，肝臓,肺,縦隔での報告がある。画像検査で発見され