自動車用ステアリングシステムにおける操舵性能開発

摘要

ドライバーの意思や期待通りに車両が動く性能を「操舵性能」と呼ぶ．操舵性能は良好であればドライバーに運転中の安心感や運転が楽しいなどの快適性を与え，不良であれば一体感が無い，疲れるといった不快感を与えてしまう為，車両全体の印象を左右する重要な性能であると言える．ドライバーはステアリングシステムを介して，タイヤの向きを変えることで車両を操縦しており，操舵性能に対するステアリングシステムの寄与は大きい．また，来るべき自動運転化の時代においても，乗員を不快にさせない車両の動きを実現するにはステアリングシステムの性能が重要であることは言うまでもない．これまで操舵性能の作り込みは熟練ドライバーの官能に基づくステアリングシステムの制御チューニングで実現されてきたが，操舵性能の殆どは官能評価と物理特性の関係が明確になっていない．そのため，定量的な目標に基づく設計·評価が出来ていない状況にあった．