多音源に対する立体音像移動手法

摘要

本稿では，人間の聴覚心理的特徴を考慮し，低演算量で多数の音源に対応する立体音像移動手法を提案する．従来の立体音像移動手法では，音源の数に比例した演算量あるいは演算器を必要とするため，計算資源の制約から再現できる音像の数には限界があった．本手法では，音源ごとに注意を引く度合いを評価し，音像定位処理を施す優先度を決定する．優先度の高い音源に対しては，従来どおりの処理を施し，優先度の低い音源に対しては，簡易版の音像移動処理を施す．簡易版の音像定位手法は，通常の音像定位手法との間で処理を切替える際に，違和感が少なくなるように設計し，さらに，切替えアルゴリズムに関する考察を行う．また，本手法をソフトウェア実装し，評価実験を行うことで，本手法の有効性を示す．