断片6: 私が暮らした東京：グローバルの行方

摘要

世界都巿の同一性は、私たちが知っての通り、グローバル化の破壊的な力の圧倒的な例証である。都市間の競争における「世界基準」の還元主義的な強調は、予測通りの凡俗さを生みだしている。おおいに非難されたが、社会的に前向きな動機にもとづいた1920年代の「住むための機械」(Le Corbusier,1931)から、社会的に誤った意図をもった投資するための機械へと、「切りドげられた生活の兆しの急激な膨張に追いつくために必死に走りながら」(Debord,1988)、私たちははるかな道のりを駆け抜けてきたということができよう。スラヴオイ·ジジェクが警告しているように、その状況の最も危険な側面は、「我々が全体化のプロセスを好まず、疑い、恐怖を感じているとしても、それにたいして我々にできることはほとんどない」(Zizek,2005)のだと信じ込ませる、広く認められる不可避性である。