リファイナーを用いたCNF製造の試み

摘要

セルロースナノファイバー（以下，CNFという。）は幅広い産業分野への利用が期待されているが，現状のCNF製造機器では，コストが高く，CNFが非常に高価であるため，CNFの用途開発の足かせとなっている。本研究ではリファイナーのみを用いたCNF製造を検討し，多量かつ低コストのCNFが製造できる機器の開発を目指している。開発型の刃物を用いて解繊することで，ミクロンオーダーの繊維も含まれているものの，市販CNF並みのナノオーダーの繊維を多く含んだスラリー(以下，リファイナーCNFという。）が作製できることが分かった。また，リファイナーCNFは市販のCNFと比較して繊維へのダメ一ジが小さいことが分かった。リファイナーCNFとポリプロピレン（以下，PPという。）の複合材を作製し，引張強さを測定したところ，パルプ/PP複合材と同程度で，市販CNF/PP複合材よりも強いもの力3作製できることが分かった。さらに，原料としてサーモケミ漂白機械パルプ（以下，BCTMPという。）を用いたCNF/PP複合材が最も強い強度を示すことが分かった。