整備の神様

摘要

成田発ホノルル行、その日の成田空港最終出発便を担当しました。それまで、結構よい成績で試験をクリアしてきた私は、自信満々でハンドリングをし、問題なくボーデイングが始まりました。しばらくしてコクピットから呼び出しがあり、「〇〇が起こっているので見てもらえますか？」。なんと、それは私が一番苦手にしていた、ナピゲーション関係のトラブルでした。加えて、空港の運用時間に余裕がない時間帯でしたので、遅れたら当日の出発はできなくなります。頭は真っ白、次の一手が出てきません。OJTリーターの先輩に相談すると、「おまえが無知なせいで、ハワイ旅行を楽しみにしている数百人のお客さまがハワイに行けなくなるんだよなぁ。俺だったらすぐ直せるんだけど···もっと勉強しろ！」とガッンと一発かまされました。やられた···それから気合を入れ直すこととなり、なんとかライセンスを取得したわけですが、とはいえ、やっぱりトラブルが起きると、焦リますし、迷いますし、真っ白になる時もあります。そんな時は、お客さまの姿を見に行くようにしました。「お前が無能だから、ここにいるお客さまに迷惑をかけることになる。それでいいのか？」と天の声で囁かれると、不思議と次の一手が浮かんでくるんです。幾度となく助けられました。