熱力学的相平衡計算を用いたセメントマトリックス組成の推定

摘要

セメントと水を混ぜ合わせるとクリンカー鉱物（エーライト，ビーライト，アルミネート相，フェライト相）が水に溶解して新たな水和物が析出し，セメントマトリックスが形成される。セメントマトリックスはーつの水和物で形 成されているわけではなぐ複数の水和物によって形成されている。ここで，水和物は固有の平衡定数を有している。平衡定数は対象の水和物が飽和状態であるときの水和物を構成するイオンの直積集合で表されるものである。すなわち，例えばportlanditeに着目した場合，実際の系における液相中のイオン活量積（ion activity product：IAP）,この場合は式（1）の値が平衡定数の値に達するとportlanditeが析出することになる（ただし，実際には安定した核が生成されるためにはある程度の過飽和状態になる必要がある）。